030 「 今から観るマボロシ 」

見渡す限り黄色い砂

空に浮かぶ丸い輝きがこの黄色い砂を色鮮やかに映し出している。人と呼べる存在を焼いて跡形も無くなったこの土地で、誰か生存者を探して歩いている。

 

影でできた生命体が揺らめきながら歩いているけれど、あれは、捕食者で、動くもの、熱を持つ者、熱を持っていたものを食べて生活している。あんな奴らに見つかるものかと思うけど、隠れる場所もなく、見渡す限りこの黄色の大地で自分が死ぬことはほぼ確実だった。

 

死ぬことを前にしてひどく腹が減る

隠れなきゃ自分がやられるってのに、そんなことよりひどく腹が減る

 

砂に埋もれた生き物の死骸を見つけて喜びを感じ、飯にありつけた。これはご馳走だ。とはしゃいでいる僕は、この世界ではたぶんまともで、絶滅寸前の人間ってカテゴリの中で、生き残った事を謳歌するために生きているんだと思う。

 

影の生き物の存在が気になって食べるのを止めて顔を上げると、そいつは目の前にいて、ハッとする。「あんなに遠くにいたのに…。」(油断した)(終わった)と。けれど、そいつは僕を見ているのではなく、この残り物の死骸を見ているようだ。口のようなものはないけれど、確かに聞こえる。「そいつを俺にも分けてくれ」

 

「同胞よ」