言葉のない声 (叙情001)

オレンジ色の暖色がほのかに部屋の一部を照らしている。いつもはこの時間になると足に飯をくれと催促をしてくる猫たちも隣の部屋にいるみたいで、食べかけのキャットフードの上に新しいキャットフードを少し追加して、「ほらご飯だよ」と声をかける。一瞬、音のない空間は、こんなにも寂しいものなのかと考えてしまったけど、窓の向こうからは姿形もわからない車のエンジン音が鳴り始めて、「夕暮れだ」と実感する。陽が落ちていくのを感じたからではないけど、すぐに隣の部屋へと移動し、それからパソコンの真っ黒な画面を見て本当に書くのか、とまた考える。もう何日考えているだろう。同じことを。あの言葉の事を。

 

「見殺しにしてきたんだね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

shunsuke NGS